令和7年カーボンニュートラル調査特別委員会 本文 2025-07-22

【高木ひろし委員】
 私が関心を持っているのは今も少し話に出たアンモニアである。これは既に化学肥料として相当な量が日本国内でも生産されている。そのため、全く無からつくり出すものではなく、このアンモニアを水素社会に向けての過程でどのように位置づけていくかは一つのポイントだと思う。先ほどの話にもあったように発電所において石炭火力やLNGの火力発電所にアンモニアを混ぜることによって、あるいはアンモニアで発電するとの話は中部電力株式会社が一生懸命取り組んでいることは聞いているが、それ以外のアンモニアをどう水素社会への移行の中で位置づけていくかとの話が十分ではなかった気がする。一つはアンモニアをアンモニアとして燃やすこととは別に、アンモニア・水素を運搬する。NH3だから水素がくっついた化合物であり、ここから水素を取り出すという、貯蔵や運搬の過程を水素として運ぶのではなくて、アンモニアとして運ぶ過程で、さらにアンモニアに重点を置いたサプライチェーンの構築があり得ると思う。また、燃焼においても今のところは水素で発電し、動く車がいろいろと推進されているが、アンモニアのままを燃料、動力とすることができないのかどうか。アンモニアの位置づけについてもう少し補足説明してほしい。

【水素社会実装推進課長】
 アンモニアの位置づけについての補足であるが、まずアンモニアの利用は先ほどあったように、そのまま燃やすことが一つある。国内では株式会社JERAの碧南火力発電所で2024年にアンモニア混焼の実証実験を行い、20パーセントの混焼実証を成功したと聞いている。これを将来的には50パーセント、それから完全に専焼していくと聞いており、高木ひろし委員の指摘のとおりそのまま燃やすとの方法はあると思う。また、ほかのものであるが、昨年度整備した水素工業炉について、これは燃料を水素で燃やすとのことで、化石燃料から燃料転換でやっているものであるが、将来的な検討の方法として、こちらで使う水素をアンモニア改質によって、例えば水素を取り出し、活用できないかという調査をしていきたい。ただ、調べている過程だと、アンモニアの貯蔵については、アンモニアは毒物であり、非常に危険なものであるため、例えばそれを置く場所があるか、安全措置が取れるか、また、水素工業炉については常滑窯業試験場にあるが、そういった場所の大きさ、安全性の確保、取扱いができる職員の資格など、いろいろなことが必要になるため、調査しながら、例えば水素工業炉でのアンモニア改質をして水素を活用するなども考えていきたい。

【水素社会・モビリティ推進監】
 ほかの例を補足すると、アンモニア燃料船が最近メディアでも取り上げられている。これは少し前だが、カーボンニュートラルのためにLNGを燃料とした船がさらに進んでアンモニアを燃料としてアンモニアを運ぶような船も構想として挙げられているとの動きもある。
 企業でも工場では自家発電はもちろん、株式会社JERAと同じような取組であるが、石炭火力にアンモニアを混ぜて混焼していく動きも幾つかの企業で構想がある。
 また、車の燃料として使うのは技術的に可能かもしれないが、劇物指定などもあり、すぐには難しいかもしれない。

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